実生(みしょう)

実生(みしょう)
実生みしょうとは、種子から発芽して成長した植物

実生の概要

実生(みしょう)とは、種子から発芽して育った植物のことです。この繁殖方法は、植物が花を咲かせ、受粉を経て種子を形成し、その種子が発芽するという自然なプロセスに基づいています。実生は、遺伝的に親植物とは異なる特性を持つ新しい個体を生み出す可能性があり、品種改良や新しい品種の開発において重要な役割を果たします。同意語としては「種子繁殖(しゅしはんしょく)」があります。

実生の詳細説明

実生は、種子から直接育てることで新しい植物個体を得る方法であり、園芸や農業において一般的に用いられています。この方法では、親植物の遺伝子が次世代に引き継がれるため、実生個体は親とは異なる遺伝的な組み合わせを持つことが多く、独自の特性を持つ個体が出現する可能性があります。このため、実生は新しい品種を開発するための重要な手段とされています。  

果樹や観葉植物、花卉類(かきるい)の育種では、実生がしばしば利用されます。例えば、果樹の新品種を作り出すためには、種子から育てた実生を選抜し、さらにその特性を固定するために栽培試験を行います。このプロセスは時間がかかるものの、独自の風味や耐病性を持つ新しい果実を生み出す可能性があります。  

また、実生は接ぎ木や挿し木といった栄養繁殖とは異なり、親植物と同じ特性を必ずしも引き継ぐわけではありません。このため、実生から育った個体は、栽培条件や環境の変化に対する適応能力が異なることがあり、その特性を評価するためには観察と試験が重要です。

実生の役目と役割

実生は、農業や園芸において以下のような役割を果たします。

  • 品種改良: 新しい品種を育成するための基礎となります。
  • 遺伝的多様性の確保: 親植物と異なる遺伝子組み合わせを持つ個体を生み出します。
  • 植物の適応性向上: 環境変化に対する耐性を持つ個体を選抜することが可能です。

実生のメリットと課題

メリット

  • 遺伝的多様性の創出: 新しい特性を持つ個体を発見する可能性があります。
  • コストの低減: 栄養繁殖に比べて、苗木の生産コストが低く抑えられます。

課題

  • 特性のばらつき: 親植物と異なる特性が現れることがあります。 対処方法: 実生から選抜された個体を慎重に評価し、育種に利用します。
  • 時間がかかる: 成長して特性が現れるまでに時間がかかることがあります。 対処方法: 選抜と栽培試験を計画的に進め、時間をかけて育種を行います。
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