稲穂を吸汁するカメムシ(斑点米カメムシ)
イネカメムシの概要
イネカメムシ(いねかめむし)とは、稲を主な対象とするカメムシの一種で、稲の穂や茎を吸汁し、作物に被害を与える害虫です。この虫は、稲の生育や収量に深刻な影響を及ぼすため、農業において重要な害虫の一つとされています。
イネカメムシの詳細説明
イネカメムシ(いねかめむし)とは、稲を中心に吸汁(きゅうじゅう)して食害するカメムシの一種です。主に日本では、クモヘリカメムシ、ホソヘリカメムシなどが知られており、それぞれが稲の生育に大きな影響を与えます。これらのカメムシは、稲の穂が出る時期から収穫期にかけて活動し、穂や茎を吸汁することで、稲の生育を阻害し、収量を減少させます。
イネカメムシの被害は以下のような形で現れます。
- 穂の変色: 吸汁された穂は変色し、斑点が現れます。
- 穂の枯死: 重度の吸汁被害がある場合、穂全体が枯死(こし=完全に枯れること)することがあります。
- 品質の低下: 吸汁によって穂が実らないため、収穫量の減少や品質の低下が起こります。
イネカメムシの生態
イネカメムシの生態について詳しく説明します。これらのカメムシは、卵から孵化し、数回の脱皮を経て成虫になります。成虫は冬を越し、春になると再び稲の畑に戻ってきます。
- 産卵: メスは稲の葉や茎に卵を産み付けます。
- 幼虫: 卵から孵化した幼虫は、稲の汁を吸いながら成長します。
- 成虫: 幼虫は数回の脱皮を経て成虫となり、再び産卵を行います。
イネカメムシの対策
イネカメムシの被害を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 適切な防除: 定期的に畑を観察し、カメムシの発生を確認した場合は速やかに防除を行います。農薬の使用が一般的ですが、使用時期や量を適切に管理することが重要です。
- 自然敵の利用: イネカメムシの天敵となる昆虫(クモや寄生バチなど)を利用することで、カメムシの発生を抑制する方法もあります。
- 栽培環境の管理: 稲の密植を避け、風通しの良い環境を維持することで、カメムシの発生を抑えることができます。また、適切な水管理を行い、稲の健全な成長を促すことも重要です。
イネカメムシの課題
イネカメムシには以下の課題があります。
課題
- 収量減少: イネカメムシの被害により、収穫量が減少することが最大の課題です。 対処方法:適切な農薬の使用や栽培環境の管理で対策します。
- 品質低下: 被害によって品質が低下し、市場価値が下がることがあります。 対処方法:早期発見と迅速な対策が重要です。
- 経済的損失: 収量減少と品質低下により、経済的損失が発生します。 対処方法:防除対策を徹底し、被害を最小限に抑えます。
参考
- 龍谷大学農学部 https://www.agr.ryukoku.ac.jp/ 水稲を加害するカメムシについての研究調査