組織培養の概要
組織培養(そしきばいよう)とは、生物体から無菌的に取り出した組織片を、ガラス器内の人工培地上で増殖させる技術を指します。この技術は、植物の大量増殖や保存、育種に広く利用されています。特に、ラン、ユリ、イチゴなどの植物で効果的に使用されており、品質の均一な苗を短期間で大量に生産することが可能です。同意語としては「クローン培養」があります。
組織培養の種類や特性
組織培養には以下のような種類や特性があります。
- メリクロン培養: 植物の成長点(メリステム)を培養し、ウイルスフリーの苗を生産する方法。
- 葉片培養: 葉の一部を培養して新しい植物体を育成する方法。
- 胚培養: 種子の胚を培養し、植物を再生する方法。
- コールス培養: 組織から未分化の細胞塊(コールス)を形成し、これを再分化させて植物体を育成する方法。
組織培養の特徴、課題
組織培養の特徴や課題としては以下の点が挙げられます。
メリット
- 大量増殖: 短期間で大量の植物を生産でき、農業生産の効率化に寄与します。
- 均一な品質: 同じ遺伝情報を持つ苗を生産でき、品質の均一性が保たれます。
- ウイルスフリー: ウイルスや病害虫の影響を受けない健康な苗を生産できます。
- 希少植物の保存: 絶滅危惧種や希少植物の保存・増殖に役立ちます。
課題
- コスト: 高度な設備と専門知識が必要で、初期投資が高額です。
- 技術的難易度: 無菌環境の維持や培養技術の習得が難しい場合があります。
- 遺伝的多様性の低下: クローンによる増殖は遺伝的多様性を低下させる可能性があります。