炭酸ガス施肥の概要
炭酸ガス施肥(たんさんがすせひ)とは、気密性の高い施設や温室内で、植物の光合成(炭酸同化作用)を促進するために炭酸ガス(CO2)を追加する手法を指します。植物は光合成により成長し、炭酸ガスはその過程で重要な役割を果たします。通常の大気中の炭酸ガス濃度は約300ppmですが、炭酸ガス施肥ではこれを増加させ、晴天日では1,000~1,500ppm、曇天日では500~1,000ppmの濃度が適しています。これにより、植物の生育を活発化させ、収量や品質の向上が期待できます。同意語としては「CO2施肥」があります。
炭酸ガス施肥と炭酸同化作用
炭酸同化作用とは、植物が光合成を行う際に、炭酸ガス(CO2)と水(H2O)を利用して有機物(糖)を生成し、酸素(O2)を放出する過程を指します。炭酸ガス施肥は、この炭酸同化作用を促進するために、炭酸ガスの供給量を増やし、植物の成長を助けます。光合成の効率が上がることで、植物はより多くのエネルギーを生産し、生育が促進されます。
炭酸ガス施肥の種類や特性
炭酸ガス施肥にはいくつかの種類や特性があります。
- 直接添加法: 炭酸ガスボンベから直接温室内に炭酸ガスを放出する方法です。
- 燃焼法: 天然ガスやプロパンガスを燃焼させ、その際に発生する炭酸ガスを利用する方法です。
- 生物学的生成法: 微生物や発酵過程を利用して炭酸ガスを生成し、供給する方法です。
炭酸ガス施肥の特徴、課題
炭酸ガス施肥には次のような特徴や課題があります。
メリット
- 光合成促進: 高濃度の炭酸ガスにより、植物の光合成(炭酸同化作用)が促進され、生育が良好になります。
- 収量増加: 適切な炭酸ガス濃度を維持することで、作物の収量が増加します。
- 品質向上: 光合成が活発化することで、作物の品質が向上します。
課題
- コスト: 炭酸ガス施肥には初期投資や運用コストがかかります。
- 管理: 炭酸ガスの濃度管理が必要で、過不足が生じないよう注意が必要です。
- 安全性: 高濃度の炭酸ガスは人体に影響を与えるため、適切な管理と換気が必要です。