嫌気性細菌(けんきせいさいきん)とは、酸素がない環境で生存し活動する細菌のことです。同意語としては「無酸素細菌」があります。
嫌気性細菌の概要
嫌気性細菌は、酸素が存在しない環境でエネルギーを生成し、成長する能力を持つ細菌のことです。これらの細菌は、酸素を必要としないため、腐敗や発酵の過程で重要な役割を果たします。嫌気性細菌は、土壌や水中、動物の消化管内など、酸素が少ないまたは存在しない環境でよく見られます。嫌気性環境で活動するため、酸素を供給する必要がない反面、嫌気性分解によって発生するメタンや硫化水素などのガスは悪臭を伴うことがあります。また、病原性のある嫌気性細菌も存在し、適切な管理が必要です。
嫌気性細菌の種類と特性
嫌気性細菌にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。
- 厳密嫌気性細菌:酸素が存在すると生存できない細菌で、完全に酸素がない環境でのみ活動します。例としてクロストリジウム属(Clostridium)が挙げられます。
- 通性嫌気性細菌:酸素の有無に関わらず活動できる細菌で、酸素がある環境では好気性として、ない環境では嫌気性として活動します。例として大腸菌(Escherichia coli)が挙げられます。
- 嫌気性発酵細菌:酸素がない環境で有機物を分解し、発酵によりエネルギーを生成する細菌です。例として乳酸菌(Lactobacillus)が挙げられます。