アルカリ性土壌(あるかりせいどじょう)

アルカリ性土壌の概要

アルカリ性土壌(あるかりせいどじょう)とは、土壌のpH(ピーエイチ)値が7.5以上の土壌を指し、石灰質(せっかいしつ)やナトリウム塩が多く含まれることが特徴です。この土壌では、一部の作物が必要とする栄養素が不足したり、吸収されにくくなることがあります。そのため、アルカリ性土壌で作物を栽培するには、適切な土壌改良や管理が不可欠です。同意語としては「アルカリ土壌」や「石灰質土壌」があります。

アルカリ性土壌の詳細説明

アルカリ性土壌は、土壌のpH値が7.5以上を示すもので、通常、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどの塩基(えんき)が豊富に含まれています。このタイプの土壌は、乾燥した地域や石灰岩が豊富な地域でよく見られます。アルカリ性土壌では、特定の微量栄養素(みりょうえいようそ)、特に鉄(てつ)やマンガンが欠乏しやすく、これが作物の生育に影響を与えることがあります。

例えば、鉄分が不足すると、植物は「鉄欠乏症(てつけつぼうしょう)」を発症し、葉が黄化(おうか)する症状が見られます。また、アルカリ性土壌は土壌の構造が硬く、排水性が低いことが多いため、根の発育が妨げられやすいです。そのため、アルカリ性土壌での栽培には特別な注意が必要です。

一方で、アルカリ性土壌は、酸性土壌に比べて酸性雨や酸性肥料による悪影響を受けにくいという利点もあります。しかし、適切な管理を怠ると、土壌が過度にアルカリ性に偏り、栽培可能な作物が限られてしまう可能性があります。

アルカリ性土壌の役割と課題

アルカリ性土壌は特定の作物にとって適している一方で、いくつかの課題も伴います。ここでは、アルカリ性土壌における代表的な課題とその対策を紹介します。

課題

  • 微量栄養素の欠乏: アルカリ性土壌では、特に鉄やマンガンなどの微量栄養素が不足しがちです。この欠乏は、植物の生育に悪影響を及ぼし、葉の黄化や成長不良を引き起こすことがあります。
  • 排水性の低下: アルカリ性土壌はしばしば構造が硬く、水はけが悪い場合があります。これにより、根が酸素不足になりやすく、根腐れなどの問題が生じることがあります。
  • 特定作物の育成困難: 一部の作物はアルカリ性土壌でうまく育たないため、栽培できる作物が限られることがあります。特に、酸性土壌を好む作物は、アルカリ性土壌では生育が阻害されます。

対策

  • 土壌酸性化剤の使用: 酸性化剤(硫酸(りゅうさん)アンモニウムなど)を使用することで、土壌pHを下げ、栄養素の吸収を改善します。これにより、微量栄養素の欠乏を防ぐことが可能です。
  • 有機物の追加: 堆肥(たいひ)や腐葉土(ふようど)などの有機物を土壌に加えることで、土壌構造を改善し、排水性を向上させます。これにより、根の発育が促進されます。
  • 耐アルカリ性作物の選定: アルカリ性土壌に適した作物を選ぶことで、土壌条件に合った農業生産を行うことができます。例えば、ムギ類などがアルカリ性土壌に適しています。
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