生産現場のニーズに合わせた、多種多様なマルチフィルム
みかど化工株式会社は1968年(昭和43年)、みかど育種農場のホーリーシート事業部を母体とし、千葉県に設立されました。
作物の根元を覆い、地温や湿度を保つことで発芽と生育をサポートする農業用マルチフィルム。そのほかにも、雑草の生育を抑えたり、害虫を寄せ付けたりしない効果をもたらします。
みかど化工では、さまざまな用途に合わせ、次のようなマルチフィルムを展開しています。
このほか同社では、あらかじめ穴を開けた商品「ホーリーシート」や、フィルムに微細な孔をちどり配列で加工することで地温をさらに1〜2℃下げる効果をもたらす「サマーマルチⓇ」、ミシン目状に穴を開ける「ドットライン・ドットホーリーⓇ」などの特殊加工も得意としています。
太陽と大地、作物の力を発揮できる製品を開発
みかど化工創業者の石本 正一氏は、農家が生産プロセスの中でさまざまな意思決定に迫られることに着目し、農家が収量を増やすため、作業性や生産性を向上させることのできる商品開発に注力しています。
雨ニモマケズ 風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
そんな農業のできることをねがい
太陽と大地の恵みを活かし利用する
かんたんでかねのかからぬ
役立つ方法とものを生み出したい
(「みかど化工の心」より)
急激な地温変動と除草の両方に対応!
グリーンと黒のメリットを備えるチョコマルチ
5年ほど前に開発されたチョコマルチは、グリーン系フィルムの温度が上がりやすいところと、黒系フィルムの雑草抑制効果の両方に対応することを目指し開発されました。みかど化工ではチョコマルチを、「農家の考える手間を考えた」商品と位置づけています。
マルチフィルムは、株元を覆うことで土壌水分の蒸散を抑え、土壌温度変化を緩やかにし、土壌中の環境を整えることで、作物の発芽率を高め生育を促す資材です。ところが、近年の温暖化に伴い、急激に地温も上がり過ぎてしまうことで、発芽前から生育初期にある作物が耐えきれないことが問題になっていました。
マルチフィルムはフィルム色で太陽光を吸収したり反射したりしますが、相反する効果を同時にもたらすのは難しいとされています。たとえば、日光を通すことで地温を上げやすくするグリーン系フィルムは、日光がない時間帯には地温が下がりやすいという特徴がありますが、土の色に近いチョコフィルムは、おだやかに地温を上げながら、さらに保熱効果で根によい環境を保つことができるのが特長です。
地温を上げ過ぎず、ちょうどいい環境を維持したい。畝の両側の地温を均一にすることで、発芽率を高め、生育を均一にしやすくするチョコマルチは、作物の大きさも揃いやすくなり収量が上がるので、徐々にファンが増えてきているとのことです。
育種の現場で磨かれたみかど化工の観察力 〜機能を重ね、かゆいところに手を届けるものづくり
チョコはもちろん、透明からグリーン、黒、白と黒のダブルや銀と黒のダブルと、多種多様なマルチフィルムを提供しているみかど化工。同社での最初のヒット商品が、1977年に発売された白黒ダブルマルチでした。
表面が地温上昇抑制効果のある白、裏面が雑草抑制効果のある黒というフィルムは、白色の強い光線反射力と裏面の黒色が持つ光線透過抑制力で、透明・黒マルチに比べ6℃程度、地温を下げることができます。白黒ダブルマルチは、光の特性を利用するため、1枚で多くの機能をあわせ持つことが難しかった従来のマルチフィルムにイノベーションを起こしたと言えます。
長年代表製品として愛された白黒ダブルマルチが温暖化に合わせさらに進化したのが、2009年に発売されたチョーハンシヤシリーズです。反射性能を高め、日中の地温を白黒ダブルマルチと比較し、さらに2℃下げることから、高温期の作物の根を傷めにくくし、青枯れ病や根腐れなどの病気を軽減する効果があります。近年は夏の猛暑日が増えさらに問合せが増えているようです。
機能を重ね、農家のさまざまなニーズに寄り添う同社の姿勢は、ほかの製品にも現れています。
1980年に発売され、表面を銀色加工することで太陽光を乱反射させ、虫を寄せ付けない効果をもたらすKO(ノックアウト)シリーズ。地温をきめ細かくコントロールする、サマー加工やミシン目といった微細な穴開け加工。加えて、さまざまな播種・定植孔のピッチに合わせ、穴開け加工を2本から受注対応し、最短1週間で発送するといった点は、同社ならではと言えます。
和田社長は、「私たちはマルチフィルム業界でシェアは低いかもしれませんが、プラスアルファで農家様のかゆいところに手が届くような商品を作り、ファンに長く愛されること会社を目指しています」と語ります。
8割がリピーター プロ農家の収量アップをサポート
みかど化工のユーザーは、「玄人が多い」と同社は語ります。
大手製品や汎用品を使っているがさらに収量を増やしたいという生産者が、みかど化工の製品を試したところ収量が2割アップしたというような声が、みかど化工製品を取り扱う資材商社や種苗会社、販売代理店などを通じて寄せられるのだそうです。
同社の製品は、ニーズに合わせ細分化されているだけでなく、KOシリーズや穴開け加工のように多機能を追加したラインナップまで用意されています。作物ごとに異なる対応はもちろん、日当たりや土質など、1枚の畑の中でもコンディションが異なるような畑でも最大限の成果を上げたい農業経営者の意思決定をサポートします。
また、反射光で害虫の忌避効果を高めるKOフィルムのように、マルチフィルムは張り方も重要です。みかど化工のマルチフィルムは、どの製品もぴったりと畝に張り付くやわらかさがポイントとなっています。正しい使い方が伝わらないと効果が出ませんが、カタログやホームページでは伝えきれない部分が多いのが悩みだと和田社長は語ります。
そうした中でも、みかど化工のユーザーの多くがリピーターとのこと。作物や季節、畑のコンディションに合わせ、適切な製品を選び正しく使ってくださることで効果を実感できた生産者と、実際に生産者と現場に相対し、伴走し続ける商社の営業マンや普及指導の方々に、みかど化工の製品は愛され続けているのです。
今後の製品の展望
千葉と東北に実験農場を持ち、現状では関東以北での活動が主となっているみかど化工。西日本や北海道への展開を強化していきたいと意欲を示します。
こだわった商品展開のため、小規模な生産者向けと捉えられてしまいがちな同社製品ですが、実は販売の多くが穴開けマルチなのだそうです。フィルム色に加え、さまざまな穴加工で従来のマルチフィルムになかった調整ができるみかど化工の製品は、日本各地の農業生産者の悩みに寄り添い、収量アップに貢献することでしょう。
企業情報
社名 | みかど化工株式会社 |
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住所 | 〒290-0171 千葉県市原市潤井戸長者原2298-1-4Googleマップ |
TEL/FAX | TEL:0436-74-1371(代) / FAX:0436-74-2947 |
URL | https://www.mikadokakou.com/ |