被覆肥料(ひふくひりょう)とは、肥料成分を硫黄や合成樹脂などの膜で覆うことで、成分が土壌中に徐々に溶け出すよう設計された肥料のことです。この肥料は、土壌に施用した際に肥料成分が一気に流出することを防ぎ、長期間にわたって作物に必要な栄養素を持続的に供給することが可能です。被覆肥料は、作物の成長に応じて肥効(ひこう)をコントロールすることができ、肥料の使用量を抑えつつ効率的な栽培を支援します。 同意語としては「コーティング肥料」があります。
被覆肥料は、農業において作物の生育に合わせた栄養供給を行うために使用されます。従来の肥料は、施用後に土壌中の水分と反応してすぐに流出し、肥料成分が失われやすい欠点がありました。しかし、被覆肥料では、肥料成分が硫黄や合成樹脂の膜で覆われているため、成分の流出が抑制され、時間をかけてゆっくりと土壌に放出されます。この設計により、作物の成長段階に合わせて適切な量の栄養が供給され、肥料の効率的な使用が可能になります。
被覆肥料は、主に2つのタイプに分類されます。一つは「被覆窒素肥料」で、これは窒素成分が主に使われ、ゆっくりと放出されることで、作物の成長を安定して支えます。もう一つは「被覆複合肥料」で、窒素、リン、カリウムなどの主要な栄養素が含まれており、これらが時間をかけて均等に放出されるため、作物に必要な栄養をバランスよく供給できます。
特に、水田で使用する場合、肥料成分が溶出した後のプラスチック殻が環境に与える影響が懸念されています。プラスチック殻がほ場外へ流出しないよう、水管理を徹底し、畦畔(けいはん)の管理や代かきの方法に注意を払うことが求められています。これらの管理を行うことで、プラスチック殻が水田から流出するリスクを軽減し、環境への影響を抑えることができます。
被覆肥料は、作物の栽培を効率化し、環境への負荷を減らす重要な役割を果たしますが、いくつかの課題も存在します。以下に、被覆肥料の役割とその課題について説明します。