苗床(なえどこ)とは、作物や植物の苗を健全に育てるための専用の場所や施設を指します。苗床は、種子から発芽したばかりの小さな苗を育成する場として、温度、湿度、光などの環境条件を適切に管理し、苗を十分に成長させるために使用されます。苗が適切なサイズに達した後、最終的な栽培場所である本圃場に定植されます。同意語としては「育苗床(いくびょうどこ)」があります。
苗床は、農業において苗を育てるための重要な施設です。苗を直接露地に播く場合と異なり、苗床で苗を育てることで、成長初期の管理が容易になり、病害虫や環境ストレスからの保護が可能となります。苗床には露地型の苗床、温室型の苗床、さらにはビニールハウスやプラグトレイを使用した苗床など、さまざまな種類があります。 露地型の苗床は、直接地面に種を播いて育てる伝統的な方法です。一方、温室型の苗床は、気温や湿度を制御できるため、寒冷地や季節外れの栽培に適しています。ビニールハウスを利用した苗床は、保温効果があり、早春や晩秋にも活用できるため、年中栽培が可能です。また、プラグトレイを用いた苗床は、苗の根を個別に管理でき、移植時のダメージを最小限に抑えることができます。 苗床では、通常、発芽直後の苗が育つため、土壌や基質の選択も重要です。培養土(ばいようど)やピートモス、バーミキュライトなど、保水性や通気性に優れた土壌が適しています。また、肥料や水分の管理も重要で、過剰な水分や肥料は苗の徒長(とちょう)や病気を引き起こす原因となるため、適切な量を調整する必要があります。
苗床は、作物の健全な成長を支えるための重要な役割を果たします。苗床の役割として、以下の点が挙げられます。