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スノーポールでビニールハウスを補強!雪害対策にも単管パイプの活用を

作成者: 株式会社農材ドットコム|2024年07月22日


近年は豪雪により多くの農業用ビニールハウスが倒壊するなど、甚大な被害が報告されています。また、想定よりも早く初雪が降るケースも見られるようになっています。2021年には、北海道の稚内で10月17日(日)に初雪が観測されました。それ以前にも、北海道の釧路と旭川で2017年10月17日に初雪が観測されています。

農業用ビニールハウスをお持ちの方は気象情報に注意し、降雪前に必ず点検を行い、部材の更新や補強などの対策を講じることが必要です。特に、使用年数の経過したハウスは強度が低下していることが多く、倒壊リスクが高くなっているため、適切な雪害対策を行う必要があります。

そこで今回は、農業用ビニールハウスの雪害対策の一つとして、単管パイプを活用したスノーポールについて詳しくご紹介します。併せて、雪害を防ぐための必須ポイントのほか、雪害対策に役立つアイテムや雪対策が得意な企業もご紹介しますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。

スノーポールとはビニールハウスの補強柱

「スノーポール」とは、積雪による農業用ビニールハウスの倒壊を防ぐためにハウス内の中央部に設置する補強用の柱のことです。「中柱」とも呼ばれ、積雪荷重への強度を上げる役割を果たします。例えば、間口6mの農業用ビニールハウスに対してスノーポールを3m間隔で取り付けることで、耐力が25kg/㎡向上します。

スノーポールは市販製品を購入するほか、単管パイプなどを使ってDIYすることもできます。パイプハウスやビニールハウスなど、さまざまなタイプのハウスに設置可能であり、雪害対策として効果が期待できます。

なぜ積雪でビニールハウスが倒壊するのか?

一般的に、農業用ビニールハウスの倒壊は、屋根に堆積した雪の荷重・側面に堆積した雪による側圧・肩部に堆積した雪の沈降圧の力によって引き起こされます。
農業用ビニールハウスの屋根に雪が降り積もると、その荷重によりパイプは肩部→屋根中央部→天井部の順に変形していきます。
もっとも曲がりやすい肩部は外側方向に、屋根中央部と天井部は内側方向に変形が起こるため、ハウスが扁平な形状になり、やがて雪の重みに耐えきれずに倒壊してしまうのです。

単管パイプのスノーポールでビニールハウスを補強!

農業用ビニールハウスの倒壊を防ぐため、ホームセンターやオンラインショップなどで手軽に入手できる単管パイプを使用したスノーポールについてご紹介します。
必要な材料と取り付け方は、以下のとおりです。

材料

  1. ジャッキベース
  2. 単管パイプ
  3. 中柱ジョイント
  4. 沈下防止の板やブロック(地面が軟弱地盤の場合)
  5. 水準器

取り付け方

  1. スノーポールを設置する地面に3mごとの印を付け、位置および本数を確認します。
  2. 単管パイプを、農業用ビニールハウス内の棟からジャッキベースまでの長さで切断します。
  3. ジャッキベースをスノーポールを設置する棟の真下に置きます。なお、地面が軟弱地盤の場合は、沈下防止の板やブロックをジャッキベースの下に敷きます。
  4. 単管パイプの上部に中柱ジョイントを差し込みます。
  5. ジャッキベースのボルト部に単管パイプを差し込みます。
  6. 水準器を単管パイプに当て、垂直になるように調整をします。
  7. 単管パイプが垂直になった位置でジャッキベースを締め込み、単管パイプを棟と地面に突っ張らせるようにしっかりと固定します。

農業ハウスの雪対策:雪害を防ぐための必須ポイント

雪害は、農業ビニールハウスにとって大きな脅威です。積雪によるハウスの倒壊やビニールの破損は甚大な被害をもたらすだけでなく、収穫量減少や栽培スケジュールへの影響など、農業経営全体に悪影響を及ぼします。

こちらの項では、雪害を防ぐための必須ポイントや注意点をお伝えします。

ハウスサイドへの側圧に注意が必要

ハウスサイドとは、ハウスの側面部分を指します。冬場、屋根に積もった雪は自重で滑り落ち、ハウスサイドに堆積します。もし天候によって雪が雨に変わるなどして溶け切らない雪が残った場合、その雪は水分を含んで重くなり、ハウスサイドに大きな側圧、すなわち側面に加わる圧力がかかります。

雪が積もったハウスサイドは、まるで壁のように雪の重みを受け止めなければなりません。パイプハウスやビニールハウスであっても、側圧に耐え切れずに倒壊してしまうおそれがあります。

パイプハウスにおいては、パイプ自体は丈夫に作られていても、接合部分に使用されている金具に不具合がある場合、側圧に耐え切れずに破損してしまう可能性があります。特に、経年劣化によって金具が錆びたり緩んだりしている場合は、破損のリスクが高くなります。

農業用ビニールハウスの倒壊というと、屋根に堆積した積雪が問題として注目されがちですが、同じくらいハウス側面に堆積した雪にも注意する必要があります。

雪害を防ぐための必須ポイント

ハウス倒壊を避けるには、まず可能なかぎり積雪させないこと、そしてハウス自体を強くすることの両方が必要です。雪害を防ぐための必須ポイントをまとめました。

  • 補強資材で強化する
  • 融雪/除雪作業を行う
  • 接合金具や部材の点検を行う

スノーポール等の資材で補強することで、ハウスの積雪荷重への強度を上げることが可能です。スノーポールは単管パイプなど身近で手に入りやすい材料で作ることができるため、可能なかぎり降雪の前に対応しておくことをおすすめします。

暖房装置や散水装置を活用し、雪を積もらせないように融雪を促すことも有効です。ただし、時期や地域によっては融雪だけでは追いつかないため、併せてハウスの屋根やハウスサイドに積もった雪の除雪作業も行いましょう。除雪作業の際は転倒や滑落した雪の下敷きになるおそれがあるため、安全に十分配慮し、必ず複数人で作業を行っていただくようお願いいたします。

ハウスの接合金具や部材を点検し、必要に応じて補修または交換を行いましょう。局部破損のリスクを減らすことができます。

農業ハウスの雪対策:雪害対策に役立つアイテムと選び方、雪対策が得意な企業をご紹介

農業資材販売店やホームセンターでは、雪害対策に役立つさまざまなアイテムが販売されています。アイテムの選び方や雪対策に力を入れている企業をご紹介します。

雪害対策アイテム

スノーレジスト(佐藤産業株式会社)

内側からハウスを支える耐積雪強靭化金具です。積雪荷重に耐えられるよう、ハウスの骨組みを補強します。持ち運びが楽で簡単に組み立てることができるので、すぐにハウスを強化したい方におすすめです。

ダブルアーチ補強金具(佐藤産業株式会社)

アーチパイプの内側にもう1本アーチパイプをダブルに補強できるようにし、強度を高める金具です。特に屋根にかかる積雪荷重に効果を発揮します。形状は調整可能で、既設のハウスに取付けることができます。

スノポー(東都興業株式会社)

ハウスの天井(峰パイプ)に取り付ける簡易補強金具です。スノポーに支柱を差し込むことでハウスの耐雪強度を高め、突然の降雪にも対応可能です。

スーパーライト700(大和鋼管工業株式会社)

DIYでスノーポールを設置したい方におすすめの軽量単管パイプです。もとは工事現場の仮設足場用に開発されているため、高い強度を持っています。

雪害対策アイテムの選び方

雪害対策アイテムを選ぶ際には、以下のポイントを確認しましょう。

  • 地域の降雪量
  • 予算
  • 作業の手間

降雪量が多い地域では、強度が高いアイテムを選ぶ必要があります。カタログだけではよく分からない場合は販売店に問い合わせたり、実際にサンプルを確認したりしてみましょう。

さらに、設置や撤去の作業には一定の手間と時間が必要です。組み立てや使用は現実的に可能か、作業負担は許容範囲かを踏まえた上で、アイテムを購入しましょう。

雪害対策は、降雪地域における農業経営を成功させるために欠かせません。適切な対策を講じて、雪害から大切なハウスを守りましょう。

まとめ

今回は、単管パイプを活用したスノーポール、雪害を防ぐためのポイント、雪害対策アイテムと選び方、そして雪対策が得意な企業についてご紹介いたしました。

近年は、豪雪地域だけでなく、想定外の積雪によって農業用ビニールハウスが倒壊する被害が各地で発生しています。雪害を防ぐためには、日頃から天気予報を確認し、降雪前・後の対策をしっかりと行うことが重要です。情報収集を積極的に行い、できることから具体的に取り組んでいきましょう。

農業用ビニールハウスへのスノーポール設置に加え、屋根や側面の除雪を行うことで、倒壊リスクを大幅に低減できます。作業時は転倒や転落に十分注意し、安全に作業を進めていただけますようお願いいたします。
以上、雪害対策にお役立ていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。