防蛾灯

防蛾灯とは

防蛾灯は、農業において害虫抑制に重要な装置で、特に夜行性の害虫に高い効果を発揮します。特定の場所の光を発生させることで、夜蛾（オオタバコガなど）が嫌う光を利用します。主に農業用ハウスや畑で使用され、化学農薬の使用を減らす手段として重要視されています。防蛾灯の光は特に紫外線や青色光が多く含まれ、これにより、害虫は光に引き寄せられ、捕獲されるか行動が抑制され、結果として農作物への被害が減少します。総合的防除の手法でも活用されています。

防蛾灯の仕組み

防蛾灯は、夜行性の害虫が特定の波長の光に引き寄せられる性質を利用した技術です。夜行性の蛾類（夜蛾類）は、夜間に暗適応し活発に活動しますが、明るい光の下では行動が抑制されます。この行動習性を活用し、黄色蛍光灯などを用いることで害虫の飛来や産卵を阻害し、農作物を守ることが可能です。引き寄せられた害虫は、粘着シートやトラップに捕獲され、直接的な被害を防ぎます。

防蛾灯の効果

害虫抑制

防蛾灯は、特に夜行性の蛾類、例えばバスモンヨトウやオオタバコガに対して効果的な抑制力を発揮します。これらの害虫は、昼間は明るさに適応して活動が暗くなり、夜間の暗さで慎重になるため、明るい光で活動を制限することが可能です。また、防蛾灯を使用することで農薬の使用を削減させ、より環境に優しい農業が実現します。有効な防除法として、モモやナシの果樹栽培で広く使われてきましたが、最近では多くの野菜や花卉の施設栽培にも普及しています。

経済的効果

防蛾灯を導入することで、農作物の被害が減少し、収量の向上につながります。これにより、農家の収益が増加するほか、農薬の使用が減少するためコスト削減も可能です。初期投資は必要ですが、長期的には農作物の品質向上や収穫量の増加、経済的な効果が期待できます。また、IPM（統合的害虫管理）の手法としても評価され、農薬に依存しない害虫防除の手段として導入が進められています。

製造元・発売元及び製品名

製造・発売元	製品名	特徴
株式会社光バイオ	光防大師 GR型	夜蛾類に効果の高い光防虫器
株式会社光バイオ	光防大師 GRC型	夜行性害虫に高い効果を発揮し、農薬散布量低減を支援
株式会社光バイオ	光防大師 GN型	広範囲に防除効果のある光防虫器
株式会社光波	防蛾灯（レピガード®シャイン）	ヤガ科害虫を防除する目的で開発した専用LEDランプ
三晃精機株式会社	黄色灯LBC-201 LBC-401	配線の楽なコンセント付黄色の専用フィルムを巻き付けて使用
株式会社ユニコ　ゼロビーム事業部	スーパーモスバリア	直径76ｍ、約4,500㎡を１灯で防除　高輝度LED使用で長寿命
株式会社ユニコ　ゼロビーム事業部	モスバリアFORフラワー	LEDの強い光が花芽形成に影響しないよう光の出方を工夫した防蛾灯
有限会社ぐんぐん	ぐんぐんらいと	一年間保証付き（国内LEDメーカーと当社のW保証）感電しない12Ｖ　3Ｗで安全仕様屋外仕様防水　曇り止め（気圧弁付き）防塵　耐寒　耐熱　ハウス内高温多湿耐性タイラップで取り付け簡単過電流防止装置内蔵ＬＥＤによる高寿命40,000時間（10年間以上）

防蛾灯の導入事例

成功事例

防蛾灯の導入は、多くの農家で成功しています。特に、果樹や野菜の栽培においては、防蛾灯を使うことで害虫の被害を大幅に減らすことができ、安定した収穫が実現しています。また、一部の地域では、地域全体で防蛾灯を導入することで、広範囲の農地にわたって効果を享受しています。

具体的な事例として、モモやナシなどの果樹園では果実吸蛾類の被害防止のために黄色蛍光灯が使用されており、これが果実の品質を保つために大きく貢献しています。さらに、近年は野菜や花卉（かき）の栽培でも防蛾灯が導入され、その有効性が確認されています。

緑色防蛾灯の利用

防蛾灯の中でも、特に緑色防蛾灯は作物に与える光の影響を最小限に抑えるために利用されます。これは、光が植物の生長に悪影響を与える可能性があるため、特に短日性・長日性の植物には黄色光よりも適しています。たとえば、イチゴやキクの施設栽培においては、緑色防蛾灯が光の影響を抑えながら害虫防除に効果を発揮しており、実験結果でもその有効性が確認されています。

防蛾灯導入時の注意点

光の強度と波長の管理

防蛾灯の導入時には、光の強度や波長を適切に管理することが重要です。例えば、黄色蛍光灯は570nmの波長で、夜蛾類の活動を抑制するのに適していますが、光の強度が強すぎると、作物の生長に悪影響を与えることがあります。特に1～10luxの光強度でも、日長条件に影響するため、短日性・長日性作物には注意が必要です。適切な設置と光の管理が行われなければ、防蛾灯の効果が十分に発揮されない可能性があります。

統合的害虫管理（IPM）との併用

防蛾灯は単独で使用するよりも、他の防除手段と組み合わせることで効果が高まります。例えば、物理的なトラップや生物的防除と併用することで、より効果的な害虫抑制が可能になります。また、これにより化学農薬の使用をさらに削減することができ、農業の持続可能性を高める一助となります。IPMの一環として、防蛾灯はますます重要な役割を果たす技術と言えます。

黄色光と緑色光の使い分け

黄色蛍光灯の特徴と活用

黄色蛍光灯は、特に夜行性の蛾類に対して高い効果を発揮します。例えば、バスモンヨトウやオオタバコガなどの夜蛾類は、黄色蛍光灯の明るさで活動が抑制され、農作物への被害が軽減されます。さらに、この技術は農薬を使用しないため、環境に優しい防除方法として評価されており、モモやナシの果樹栽培などで長年使用されてきました。

一方で、黄色光は短日性・長日性の植物に対して悪影響を与えることがあります。黄色光の使用が適切でない作物に対しては、別の対策が必要です。

緑色防蛾灯の利点

緑色防蛾灯は、特定の波長の光を大幅にカットすることで、作物への影響を最小限に抑えつつ、害虫の防除効果を維持します。特にイチゴやキクの栽培において、この緑色光が使用され、作物の生長に影響を与えずに害虫を効果的に抑制することが可能です。実験によっても、その効果が確認されており、農業の現場でますます活用が進んでいます。