炭酸ガス発生装置(光合成促進機)とは
冬場のハウス栽培では、光合成に不可欠な二酸化炭素(CO₂)が不足しがちで、これが作物の成長に影響を与えることがあります。近年、炭酸ガス発生機(別名:二酸化炭素発生機、光合成促進装置)を利用し、効率的にCO₂を供給して光合成を促進することで、収量や品質の向上を図る事例が増えています。灯油やLPガスを燃料とした装置や、ハウス暖房機の排気ガスを再利用した炭酸ガスの供給システムが利用され、持続可能な農業を実現するための重要な役割を担っています。
ここでは、炭酸ガス発生装置の導入による光合成促進の効果、導入事例や注意点について、具体的な情報を解説します。
炭酸ガス発生装置の基本概念
光合成と炭酸ガスの役割
植物は光合成を通じて太陽光をエネルギー源とし、二酸化炭素と水からグルコースと酸素を生成します。このプロセスは、植物の成長や収量に直接影響を及ぼします。炭酸ガスの濃度が高いほど、光合成の効率が上がり、結果として収量が増加するとされています。
炭酸ガス発生装置の仕組み
炭酸ガス発生装置は、主に燃焼装置や化学反応を利用して二酸化炭素を生成します。暖房機から排出されるCO2を浄化・貯留し、日中に植物に供給する方法が一般的です。また、一部の企業では、炭酸ガスボンベを利用した供給サービスも存在します。これにより、安定したCO2供給が可能となります(参考: テヌート)。
炭酸ガス発生装置の効果
収量の増加
研究によると、ピーマンなどの作物では、炭酸ガス発生装置を導入することで収量が約20%増加したとの報告があります。トマト、キュウリ、レタスなど、さまざまな作物でも同様の効果が確認されています。
品質の向上
炭酸ガスの供給により、果実の糖度や色合いが向上し、商業的価値が高まります。また、健康な植物は病害に対する抵抗力が強くなり、農薬の使用を減少させることが可能です。
製造元・発売元及び製品名
製造・発売元 | 製品名 | 特徴 |
---|---|---|
灯油を使用しないCO2施用システム | ||
炭酸ガス発生装置 LPガス燃焼方式 同社のグリーンラボと連動可能 | ||
クリーンな炭酸ガスを自由に供給 オプションの炭酸ガスコントローラー(ZFP-9)で自由な濃度設定が可能 24時間タイマーで施用時間を設定が可能 LPCガス | ||
単棟ハウスの炭酸ガス施用に最適 安全燃焼システムと失火時ブザー警報により安心して使用が可能 | ||
コンパクトラウンドデザインで設置場所を選ばない 簡単操作 オプションの24時間タイマー、濃度コントローラー有り 暖房機との連動運転も可能 JIS1号灯油 | ||
コンパクトラウンドデザインで設置場所を選ばない 簡単操作 オプションの24時間タイマー、濃度コントローラー有り 暖房機との連動運転も可能 JIS1号灯油 | ||
小型軽量の本体 特殊設計により完全燃焼し、純良な炭酸ガスを供給 かんたん操作 別売の炭酸ガスコントローラで、濃度による運転も簡単にできる | ||
少燃費で効率よく炭酸ガスが発生 | ||
特殊設計により完全燃焼し、純良なCO2を供給 小型軽量の本体は、移動がラクで省スペース設置 JIS 1号灯油 | ||
ハウス内で不足しがちな炭酸ガスを効率的に供給 作物の光合成能力を高め、品質と収穫量アップ 頼れるハイパワーのコンパクトサイズ 使い慣れたファンヒータータイプだから安心 JIS 1号灯油 | ||
ガス炊き光合成促進機 コンパクトで低コスト | ||
フルタ光合成促進機 ZOゾウさん |
灯油またはLPガスを用いた炭酸ガス発生機 | |
灯油燃焼式でありながら、低温のCO2を局所施用が可能 低温CO2のため夏場を含めて周年利用可能 専用の細い子ダクトで群落に局所施用、無駄が少なく効率的 | ||
炭酸ガス制御装置の決定版。 局所施用で光合成を促進!温度湿度飽差に応じた濃度制御も。 みどりクラウドとの連携によりアプリでらくらく遠隔監視制御。 |
導入事例
炭酸ガスの供給により、果実の糖度や色合いが向上し、商業的価値が高まります。また、健康な植物は病害に対する抵抗力が強くなり、農薬の使用を減少させることが可能です。
成功事例
多くの農家が炭酸ガス発生装置を導入し、収量の増加を実現しています。特にハウス栽培を行う農家において、その効果が顕著です。一部の地域では、共同で装置を導入し、コストを削減しながら効果を享受しています。
経済的効果
初期投資は必要ですが、収量の増加により長期的には経済的利益が得られることが多いです。例えば、炭酸ガス発生装置を導入したトマト農家では、収量の増加により、初期投資を数年以内に回収できる見込みが立っています。
導入時の注意点
環境管理
炭酸ガスの濃度が高すぎると、逆に植物に悪影響を及ぼす可能性があります。一般的に、ハウス内の炭酸ガス濃度の目安は400~1200 ppm(parts per million)とされています。濃度が1500 ppmを超えると、植物にストレスを与えることがあるため、適切な濃度を維持するための管理が必要です。また、ハウス内の換気を適切に行うことで、過剰な湿度や温度の上昇を防ぐことが重要です。
初期投資と維持費
炭酸ガス発生装置の導入には初期投資が必要ですが、運用コストも考慮する必要があります。長期的な視点での投資判断が求められます。
まとめ
炭酸ガス発生装置や炭酸ガス供給システムは、農業用ハウスにおいて植物の光合成を促進し、収量を増加させる有効な手段です。導入によって得られる収量の増加や品質の向上は、農家にとって大きなメリットとなります。しかし、適切な管理と初期投資の検討が必要です。今後も技術の進化により、より効率的な炭酸ガス発生装置・供給システムが登場することが期待されます。農業の持続可能な発展に向けて、炭酸ガス発生装置の活用はますます重要になるでしょう。
参考
生物系特定産業技術研究支援センター 《こぼれ話24》
《こぼれ話24》 炭酸ガス施用でハウス作物が増収